【 概 要 】−卯辰山山麓寺院群(石川県金沢市)に位置する全性寺の創建は室町時代後期の大永2年(1522)日仁上人が開山したのが始まりと伝えられています。当初は越中放生津(富山県射水市)にありましたが、後の加賀藩2代藩主となる前田利長が領主時代に庇護となり、利長の赴任先である越中富山(富山市)、越中守山(高岡市)と随行し、天明6年(1786)に現在地に移りました。その後も前田家との関係が深く10代藩主前田重教の生母が安産祈願のために重教の守本尊である不動明王像を寄進しています。正面の山門は18世紀後半に建てられたと推定されている建物で、三間一戸、入母屋、桟瓦葺、楼門形式、2層目には高欄が廻り、楼門全体がベンガラで彩色されています。内部には仁王像を安置し、健康と健脚を願って多くのわらじが奉納され楼門が赤いところから「赤門」や「赤門寺」などと称されています。全性寺山門は金沢市内に残る数少ない寺院楼門建築の遺構として貴重な存在で平成16年に金沢市指定文化財(有形文化財・建造物)に指定されています。又、周辺は寺町(卯辰山山麓寺院群)の雰囲気ある町並みが続き、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
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